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 管理人 : ハルサキ

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■□ 黒ネコ大作戦SE 第一章 □■

 二つの怪しい月明かりに照らされた部屋。そこに映る一つの影。桃色のブロンドに鳶色の目をした可愛いらしい女の子。ルイズである。
視線の先には使い魔サイトと、その胸に顔を埋めて寝息を立てるメイドのシエスタ。二人はグッスリと眠っているようだ。そんな光景を見てぴくぴくと動く桃色の眉。
 こ、こここのメイドったら、わわ私の使い間になななんてことしてるのかしら! そう呟くルイズの声は震えている。どうやら怒りは最高潮まで達してるようだ。
しかし、いつもならメイドを引き剥がすところ、今はなにやら様子がおかしい。身体の震えを制した後、しょぼんとその場に座り込んでしまった。
 その様子を見ていたデルフリンガーはあっけらかんとした声で言った。
「おい娘っ子。こんな夜中になにしてんだ?」
 その言葉に顔を上げると、ルイズはとぼとぼとデルフリンガーの傍に向う。
「大声ださないで。サイト達が…起きちゃうでしょ」
 ルイズの声には張りが無い。どうやら萎んでるようだ。
「でもよー。ぷるぷる震えたり、へなへなうずくまったり、お前なにしてんだ?」
 アンタには関係ないわよ。黙ってて。そうルイズに言われたデルフリンガーは口を閉じた。
 はぁ……、あぅ……、へぁ……。静寂の中聞こえる溜息。
 その溜息はいつまで経っても止まない。心なしか増えている気もする。そんな光景に居たたまれなくなったデルフリンガーは、控えめな声でルイズに話しかけた。
「なぁ、娘っ子」
 少し経ってから、あによ? と、ぶすっとした声が返ってきた。
「ホントどうしちまったんだ? なんかおかしいぜお前さん。変なもんでも食ったか?」
 デルフリンガーは心底心配した。なにせあの傲慢くわえて傍若無人なルイズが、こんなにも滅入っている。だがこのインテリジェンスソード、勘が鋭い。なるほど、ぷぷっと小馬鹿にしたように笑う。
「あれか? 嫉妬してんのか? あのメイドに。まぁ相手はメイドだ。無理もねぇ」
 その言葉に大きく反応したルイズ。刹那オーク鬼すら逃げ出しそうなほどの迫力でデルフリンガーを睨みつけた。
「アアアンタ今なんてい、い言ったのよ!」
 無音の空間にこだまするルイズの怒声。言葉は更に続く。
「なな何で私がし、しし嫉妬しなきゃいけないのよ! っていうか『無理もねぇ』ってなんだコラ!」
 端整な顔立ちを怒りに歪め、その華奢な手はデルフリンガーを強く握り締めた。
「いやぁー。なぁ?」
「『なぁ?』じゃねぇコラ! ハッキリと言えコラ!」
 怒りに我を忘れたルイズは『コラコラ』とデルフリンガーを叱咤する。
「相棒は大きいのが好きだからな」
 胸。胸。胸きた!
「ムッキ――――っ!」
 七万の敵軍をも逃げ出さん勢いでルイズは雄たけびを上げた。もういい。吹っ飛ばす。とりあえず。吹っ飛ばす。瞬間ルイズの顔はぱぁっと、野原に咲く一輪の花のように輝いた。
 頭のネジでも外れたか? とデルフリンガーが思っていると、なにやらブツブツ聞こえる。血の気が引く。果たしてこの剣に血が通っているかは謎だが、まさにそれは虚無の呪文。
「娘っ子。馬鹿なこたぁするんじゃねぇ。そんなことで虚無を使っちゃぁブリミルが泣くぜ?」
 にこっと、それはもう可憐な妖精のような笑顔で呪文を唱え続けるルイズ。
 コイツいっちゃってる? ルイズを止めることが出来ないと悟ったデルフリンガー。相棒、みじけぇ間だったけど楽しかったぜ。などと思いを巡らす。
 呪文の完成も間近に差し掛かったとき、ベットから突然何かが飛び出してきた。
「ミス・ヴァリエール!」
 大声で叫ぶ黒髪の少女。シエスタだ。ルイズは予想外の出来事にびくっと身体を跳ね上げた。
「………」
 言葉を溜めるシエスタ。辺りに流れるつかの間の沈黙。
「シエスタっ、脱ぎますっ!」
 その大声とともにシエスタはベットに倒れ込む。そしてまたスヤスヤと寝息をたてた。
 なに? 寝言? ルイズとデルフリンガーはきょとんと、シエスタの意味不明な行動にビビッていた。
 そんな喧騒の中眠り続けるサイトは、おもむろにシエスタを抱きしめる。むがぁっ! っとルイズが顔を歪めると同時にむにゃむにゃと。
「ルイズ……ルイズ……」
 その言葉に頬を染め、ルイズは再びデルフリンガーの元へと腰を下ろした。一瞬、やられるっ! とも思ったが、どうやら機嫌を直したらしい。
 デルフリンガーは細心の注意を払って、ルイズへと言葉を投げかけた。
「まぁあれだ。相棒はお前さんにメロメロみてーだな」
「ふ、ふん。当たり前でしょ」
 恥ずかしそうにルイズは顔を背けた。そして深い溜息を一つ落とす。
「なんだ? まだ不満でもあるのか?」
 ルイズは少し考えた後、もじもじしながら口を開けた。
「ねぇ? サイトってば私のこと『好き』とか言っておきながら、なんで他の女の子に手を出すのかしら?」
 べべ別に、私はサイトのこと好きでもなんでもな、なな無いんだけどね! 分かってんなコラ! と加えて付け足す。
「そりゃぁお前さん。そいつはしかたねぇ」
 ルイズはなんでよ? と、サイトの肩を持つ意見に不服そうに頬を膨らませた。
「なにせ、今じゃ相棒は『英雄』だ。モテモテだ」
「なによ! 英雄になったからって、私の使い魔に変わりはないのよ!」
「でも実際モテモテ。メイドに。姫さまに」
 ルイズは目頭を熱くする。アンリエッタのことを考えて悲しくなったのだろう。
「モテモテだからって何よ。他の女の子に手を出して言い訳ないでしょ!」
 そう怒鳴るルイズにデルフリンガーは呆れる。
「あのなぁー。お前さん『手を出した』とか言ってるけどよぉ。相棒はそんなことしてねぇぜ?」
 むーっとそっぽを向くルイズ。
「キスした。キスした。メイドとも。姫さまとも」
 ついでに、あのエルフの『胸っぽいもの』も触った、と呟く。
「全部不可抗力だろ? 相棒はなぁ、女に迫られて断れるほど、女にゃなれてねぇ」
「じゃぁなに? このまま見過ごしてやれって言うの?」
 ルイズは人一倍独占欲が強い。ましてサイトは自分が好きな人なのだ。本人は認めないが。
「だめ。そんなのだめ。そんなことしたらあの犬、きっとどこかに行っちゃう」
 ルイズは可愛い。胸こそ無いが、黙っていれば清楚で高貴なお人形のように可愛い。でも自分に自信が持てないのだ。サイトに自分が愛されているという、絶対の自信。
 唯一無二のコンプレックスである胸にも問題はある。サイトが手を出すのは決まって胸の大きい子。そんなサイトは、こんな私を本当に愛してくれているのだろうか? あの『好き』という言葉は偽りなのでは無いのだろうか?
「娘っ子。お前さんは本当に相棒のことが好きなんだな」
 デルフリンガーのその言葉にブンブンと首を振るう。その顔は真っ赤である。
「馬鹿言わないで! あんな犬好きなわけないでしょ! 誰にでも尻尾を振るあんな犬……」
 デルフリンガーは心の中でニターっと笑った。相棒、俺はお前の味方だぜ。
「なら、相棒がお前だけを見るように仕立て上げればいいじゃねぇか」
 どうゆうこと? ルイズは半分分からず半分ドキドキしながら尋ねる。あ、こないだのネコの真似ごとみたいな事だったらぶっ殺すわよ。と思い出したように釘をさした。
「ま…まぁ聞け。俺は完璧な。さすが伝説の俺様な。最高の作戦を思いついた」
 ルイズに確信をつかれてもなお、引き下がらないデルフリンガー。その自信たっぷりな言い草に、ルイズはゆっくりとうなずいた。
 二人の作戦会議は夜明けまで続き、密かにそれは、実行に向けて歩み始めた。


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